2月に入ってから『自宅待機』という言葉をニュースや新聞でよく見かけるようになり、日本や世界中で現在自粛が行われています。
自宅待機は労働者の出勤を禁止する措置です。
インフルエンザなどの伝染病時の出勤停止と同じように聞こえるかもしれませんが、自宅待機は一定の期間が決まっていません。
解雇や懲戒解雇の前置措置として、処分をするか否かにつき調査または審議決定するまでの間の出勤を禁止し企業が従業員を出社させるのは不適当と認める場合に出勤を禁止することを自宅待機と呼びます。
自宅待機とは何か、今後コロナウイルスによって自宅待機になる場合や既に自宅待機している方の手当について今回はケースや事例を基に解説していきます!
自宅待機とは?
冒頭でも少しお話しましたが、自宅待機は出勤停止とは違い一定の期間がなく調査や審議が決定するまで自宅で待機することです。
自宅待機期間中は、「自宅で待機する」という労務の提供を求めるため、原則として賃金の支払義務が生じます。
しかし、全ての自宅待機に賃金が発生する訳ではありませんので注意してください。
自宅待機には2つの性格があります。
- 性格1:自宅待機していること自体を労務の提供の業務命令とする場合
- 性格2:会社が労務提供を拒否している場合
使用者の責めに帰すべき事由による休業として、休業手当の支払いや賃金請求権があるとされます。
ですが、電車が止まったので自宅待機を命じたような場合は労務の提供がなかった分、賃金は発生しません。
休業手当がもらえる場合
労働基準法第26条、使用者の責に帰すべき休業に基づき休業手当がもらえます。
ここでは具体的にどのような場合が休業手当がもえる対象となるのか詳しく解説していきます!
- 生産調整のための一時帰休 ・機械の検査
- 原材料の不足による休業
- 製造ストライキによる休業
- 指導者が明日いないため出勤予定を休みへ変更した場合の休業
- 店舗の改装工事による休業
- 違法な解雇による休業
などです。
このように、会社の都合で休業になった場合は休業手当がもらえます。
休業手当がもらない場合
休業とみなされず、休業手当がでない場合もあります。
従業員と会社との間の雇用契約は従業員が労働力を提供し、その見返りとして給料が支払われるというものなので従業員が労働力を提供しない場合は給料が支払われないのが原則です。
例えば
- 震災による計画停電や休業
- 法令に基づくボイラー検査のための休業
- インフルエンザによる休業
- ストライキによる休業
- 電車が止まり自宅待機を命じたような場合の休業
などがあげられます。
このように自己都合や災害などの不可抗力はで休業になる場合が休業手当がもらえないのです。
コロナウイルスは対象??3つのケース別に解説
先ほどインフルエンザなどの伝染病は不可抗力とみなされてしまい、休業手当がでないとお伝えしました。
さて、コロナウイルスはどうでしょうか?
休業手当がでない場合の定義に当てはめると不可抗力と定義されますが全てが休業手当がでない訳ではありません。
3つのケース別に解説していきます!
あくまでも現時点(令和2年5月1日)現在の定義になりますので今後変わっていく可能性もあります。
【ケース1】従業員がコロナウイルスに感染して休業する
ウイルスに感染していることが明らかな場合は就業規則等に賃金または休業手当を支払う旨の規定がなければ、一般的には労務の提供が可能な場合には該当しないので賃金も休業手当も支払う必要はありません。
つまり、かかってしまったので業務ができる状態ではないため不可抗力です。
休業手当は対象ではありませんが、被用者保険に加入されている方で要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。
条件は4つで
①給与(報酬)の支払いがない
②仕事につけない
③業務外の事由による病気やケガのため療養中である
④ 3日間連続して仕事を休み、4日目以降にも休んだ日がある
健康保険傷病手当金支給申請書を記載してお住まいの全国保険協会支部へ送付してください。
休業手当は出ませんが、条件を満たせば傷病手当金が申請できるので役立てみてはいかがでしょうか。
【ケース2】従業員が、コロウイルスの疑いがあるため休業する
熱があるなどの症状があり、コロナウイルスの疑いのため会社が自主的な判断で当該従業員を休業させる場合には、休業手当を支払う必要があります。
職務の継続が可能である方について、会社の自主的判断になるからです。
ですが、従業員が自主的に休業した場合は会社都合ではないので休業手当は出ませんので注意してくださいね。
【ケース3】4月入社の新入社員を自宅待機させている
4月から働くはずだった新入社員をコロナウイルスの影響で接触を防ぐための自宅待機の場合は、会社の都合で従業員を休業させているので休業手当がでます。
休業手当は賃金の60%と決められていますが、新入社員は賃金の60%を支払うにも直近3カ月の給料がありません。
そこで、雇用契約で定められた賃金と同じ金額を“直前3ヶ月にも支払った”と仮定して休業手当の額を計算します。
新入社員で入社したのに自宅待機になってしまった方も不安だと思いますが休業手当は出るので、雇用契約書を確認してどのくらい手当がでるかみることをおすすめします。
支払われる金額と計算方法
休業手当は平均賃金60%の賃金が支払われます。
交通費、歩合給、残業代、皆勤手当など含む給料が対象となりますただし、賞与などは含みません。
計算方法は
3か月間の賃金の総額 ÷ 3か月間の労働日数✕60%=平均賃金
平均賃金×休業日数=休業手当
例えば、月収30万で休業の日数が10日
90万÷66日×60%=3,564円
3564円×10日=35,640円が支払われます。
まとめ
今回は自宅待機は休業手当が出るのかについて解説してきました。
休業手当が出るポイントとしては不可抗力であるのか、それとも会社都合による休業なのかで手当はでるのかが決まります。
コロナウイルスでもケースによっては自宅待機でも休業手当でます、休業手当がでなくても条件を満たせば各保険者から傷病手当金が支給される制度もあるので利用してみてください。
現時点では対策や手当がありませんが、この機械を生かし会社の体制や仕事で必要な勉強をするのも自己投資になると思います。
この記事を読んだ方にとって少しでも力になれたら嬉しいです!