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休業手当と休業補償はなにが違うの?

#コラム

会社に勤めている人は、急なケガや事故でいつ働けなくなるかわかりません。
仕事を休むことになり給料が入らなくなると、生活に困ってしまいます。

このように、働けなくなった人が最低限の生活を維持できるよう、「休業手当」「休業補償」といった制度が存在します。
休業手当と休業補償は、支給される要件や1ヶ月あたりの支給額が違うまったく別の制度です。

それ以外にも、休業する理由ごとに、労働者に支給されるさまざまな手当てがあります。
今回の記事では、「休業手当」「休業補償」の違いを中心に解説していきますので、ぜひこの機会に勉強してみて下さい!

休業手当はどのような制度か?

休業手当は「労働者が急に働けなくなっても金銭的に困らないよう、最低限の生活を保障する」ための制度です。

もし、自分が働けなくなった場合、「どのようなときに手当が支払われるのか」「具体的にいくらくらいもらえるのか」など、気になりませんか?

そこで、休業手当をもらうための要件や、支給額の計算方法などを説明していきます。

休業手当をもらうための要件

休業手当は「使用者の責任によって労働者が働けなくなった場合に、その労働者に支給される手当」のこと。
使用者とは、主に会社の代表・事業主のことを指します。

例えば、会社が経営不振・業績悪化で人件費を削る必要があり、労働者を休業させた場合、使用者は休業手当を支払わなければなりません。

休業手当は労働基準法の第26条において、「労働者の生活を守る目的」で整備されています。

もし、会社の都合で休業し、給料が支払われなかったら、労働者は不利になります。
休業手当はそのような労働者を守るための制度です。

休業手当の計算の仕方

休業手当の1日あたりの支給額は、「平均賃金の60%」として計算されます。

この平均賃金とは、「直近の3ヶ月間で支払われた給料の総額を、その期間の合計日数で割った額」のこと。

例を挙げて、「月額の給料24万円の人が15日間の休業要請を受けた場合、その人が1日にもらえる休業手当の額」を計算してみます。

まず、直近3ヶ月分の給料は24万円×3ヶ月=72万円です。
その額を90日で割るので、平均賃金は72万円÷90日で8,000円と算出されます。

1日あたりの支給額はこの額の60%ですので4,800円となり、15日間の総支給額は7万2千円ということになります。

また、休業手当は会社からの賃金として扱われるので、課税対象になることも頭に入れておきましょう。

休業手当と休業補償はまったく別の制度

休業手当とは別に、「休業補償」という制度もありますが、この2つはまったく異なるモノです。

手当てをもらうための要件や、1ヶ月あたりにもらえる金額も変わってきます。

そこで、休業手当と休業補償はどのような点が違うのかを解説していきます。

休業補償とは?

休業補償は「仕事中の事故などで、今後の業務ができなくなり休業せざるを得ないときに支給される補償金」のことです。

この制度は、休業手当と同じく「労働者の生活を保護する」という目的があります。
休業補償は労災保険から支払われ、賃金扱いにはならない点が休業手当との違いです。

例えば、工事現場で働いている人が勤務中に足場から落ちて骨折した場合、休業補償の支給対象になります。

また、通勤途中に事故にあい、仕事を続けるのが難しくなった場合も対象となりますので、注意して下さい。

休業補償は課税対象にならない

休業補償は「平均賃金の80%にあたる額」が労災保険の中から支払われます。

平均賃金の算出の仕方は休業手当のときと同じで、80%の内訳は「休業給付の60%」と「休業特別支援金の20%」の2つです。

前述したように、休業補償は賃金と扱われないので、課税対象に含まれません。

休業を開始して最初の3日間は、労災保険からの支払い対象外となり、会社が平均賃金の60%を負担する決まりがあります。

休業補償は、実質「休業した4日目から支給される」という考え方になります。
ただし、特例でこの3日分も非課税扱いとなることを覚えておきましょう。

「休業」にはさまざまな種類がある

休業にはさまざまな種類があり、大きく2つに分けると、「会社の責任による休業」「自己都合による休業」があります。

会社の責任による休業理由の一例
  • ・倒産
  • ・使用者による出勤停止命令
  • ・会社の改装工事
自己都合による休業理由の一例
  • ・病気による療養
  • ・産前と産後の休業
  • ・育児や介護による休業

それぞれ休業する理由によって、もらえる手当てや支給要件も異なります。
例えば、介護による休業は「介護休業給付」が支給されます。

特に自己都合による休業の場合、各法律が整備している範囲で、さまざまな手当てが用意されているので確認してみて下さい。

新型コロナウイルスの影響で、働けなくなったら休業手当はもらえる?

近年、新型コロナウイルスの影響が日本でも大きく、休業・倒産する会社が増えています。

  • 会社がコロナウイルスの影響により休業を決めた
  • 自分自身がコロナウイルスに感染した

このような状況になったとき、休業手当は支払われるのでしょうか?

会社がコロナウイルスの影響を受けて、休業を決めた場合

コロナウイルスの影響を受けて、やむを得ず休業を選択する会社も少なくありません。

この場合、会社の判断で休業を決めた、つまり「会社の責任」とみなされるため、労働者に休業手当が支払われる可能性は高いです。

さらに、事業を頑張って続けようとする会社に対し、「雇用調整助成金」という措置が発令されました。

雇用調整助成金は、「会社が支払う休業手当の一部を国が負担してくれる」という制度です。

これによって、会社が休業手当を出すことが促進され、労働者の生活はきちんと保障されやすくなりました。

自分がコロナウイルスに感染した場合

もし、コロナウイルスに感染して仕事を休む場合、基本的に休業手当はもらえません。
このパターンは「会社の責任」という点に当てはまらず、会社に休業手当の支払い義務はありません。

ただし、休業手当を出すか出さないかはそれぞれの会社の判断となりますので、気になる人は会社に相談してみましょう。

また、休業手当がもらえないとしても、会社の被保険者であれば、「傷病手当金」をもらえる可能性が高いです。

傷病手当金を受け取りたい旨を申請すれば、「病気やケガで療養する必要がある人」に給料のおよそ6割が支給されます。

アルバイトや派遣でも、休業手当・休業補償をもらえる

アルバイトや派遣でも支給要件を満たせば、休業手当をもらえます。
会社と雇用関係を結んでいる人は、全員支給対象になるということです。

ただし、休業手当は直近の給料を元に算出されるので、アルバイトや派遣の場合、正社員に比べてもらえる金額は低い傾向があります。

派遣の場合、休業手当の支払いは派遣先の企業ではなく、通常派遣元の企業が行うので、各企業に確認を取ってみましょう。

休業補償に関しても同じ仕組みです。
会社と雇用関係がある人は労災保険に加入する義務があります。
休業補償が労災保険から支払われている以上、労働者は雇用形態に関係なく補償を受けられるということです。

まとめ

休業手当と休業補償の違いについて解説しました。
それぞれ支給要件やもらえる金額も異なる、まったく別の制度です。

今回の記事のポイント
  • ・休業手当は「会社の責により休業する場合」にもらえる
  • ・休業補償は労災保険から支払われ、給料とは別の扱い
  • ・休業手当は給料と同じなので課税対象だが、休業補償は非課税扱い

休業手当・休業補償ともに、雇用形態に関係なく、アルバイトや派遣の人でももらえます。

どちらも労働基準法のもとで整備されている制度で、「労働者の生活を保護する」という共通点があります。

ただし、法律で守られているといって安心してはいけません。
会社に都合よく扱われないよう、労働者も最低限の休業に関する知識を持っておくべきです。

もしものとき自分が困らないためにも、休業手当や休業補償について、この機会に調べてみましょう!

ライター:玉置 博章 Twitter@tama1226dic1811

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