
「高校中退したけど、何をしていいのか分からない」

「高校中退だと、希望の職種に求職しても門前払いばかり……」
このように、高校中退後に悩みを抱えてしまう方は多くいます。
また、誰しもが人生で迷い、立ち止まるときがあるものです。
しかし、悩み、苦しんだ時期こそが、大きな成長期となります。
人生は何度もリスタートが可能です。
その後の選択肢を増やすための手段のひとつとして、高校へ編入(再び入学)することを視野に入れてみませんか?
今回は、一度高校中退した後、編入するための方法を解説していきます。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
高校中退して全日制へ編入はできるか
高校中退後、全日制高校へ再度入学することは可能です。
ですが、募集が限られており、狭き門でハードルが高いといえます。
全日制高校への入学を検討する際には、ご自身にとって“全日制でなければいけない理由”を明確にした上で、意志を強くもたなければいけません。
専門分野に特化した学科で、就きたい職業への近道となる場合は、全日制高校を目指すべきです。
例えば、看護科や、調理科、製菓・パティスリー科などの専門性が高く、実務スキルが身につく学校もあります。
また、同じ目標をもった仲間との学生生活では、辛いときや悩むときも励まし合い、壁を乗り越えることができるはずです。
大切なのは、入学するだけでなく、卒業までの3年間目標をもって通い続けること。一度決断したことを諦めずに、目標を達成することです。
編入先の学校を選ぶ上では、卒業という目標を達成できるかが重要です。
高校中退した!けど高卒がほしい人は定時制か通信制が現実的
高校中退後の編入先として、定時制高校や通信制高校を選択する方は多くいます。
定時制高校・通信制高校へ通う方のなかには、いじめなどが原因で不登校になり中退してしまったという方や、経済的な理由から全日制高校への在学を断念せざるを得なかったという方も少なくありません。
定時制高校と通信制高校との違いや、特徴、ご自身へのメリットを理解した上で、編入先を検討しましょう。
では、定時制高校と通信制高校には、どのような特徴があるのか具体的にみていきます。
定時制高校について
定時制高校では「夜間その他の時間または時期において授業を行う」と定義されています。
経済的な理由から就職しなければいけない学生のために設けられたのが始まりです。
定時制の一般的なイメージは、“夜間に学ぶ高校”でしたが、最近では、昼間の定時制高校もあり、より幅広い選択ができるようになってきています。
定時制高校の特徴
定時制高校は、夜間制・昼間制・昼夜間制の3種があります。
ご自身の仕事や生活に合った選択ができるため、無理なく通い続けることができるのがメリットです。
また、4年以上かけて卒業するのが一般的であるため、学業と仕事を両立させることも十分可能といえます。
ですが、さまざまな事情を抱えた方がいるため、中退率が高く、卒業率が低いのも現状です。
卒業するためには、1学期ごとに単位の取得数など細かく目標を立て、まず1年、さらにもう1年と達成を積み重ねていきましょう。
また、定時制高校は全日制高校とは違って、さまざまな年齢層の方が在学しているのも特徴です。
これまでは同年代の友達がうまく作れなかったという方も、ご自身より人生経験を積んでいる仲間から学び、打ち解けることができるかもしれません。
自分の殻を少し破って、卒業まで通い続ける糧となる仲間を作ってみましょう。
定時制高校の学費
定時制高校の学費は、公立の場合は年間3万~4万円前後、私立の場合は年間40万~100万程度です。
公立定時制高校であれば、アルバイトなどの非正規雇用の方でも十分に支払い続けられます。
また、私立の場合は入学金に20万~30万円別途必要で、学校によっては積立金や設備費、寄付金などが必要な場合もあるので、事前によく調べておきたいところです。
ですが、私立定時制高校も就学支援金の対象です。
支援金の額は家庭の所得によって異なりますので、私立定時制高校への進学を希望する方は、確認しておきましょう。
定時制高校の選び方
では、具体的にどのようなことに注意して、進学先の定時制高校を選んでいけばよいかをみていきましょう。
定時制高校の選び方のポイントを4つお伝えしていきます。
定時制高校選びの4つのポイント
定時制高校の選び方1:場所
通学しやすい距離かどうか?
精神科医によると、精神的に負担を感じない通学時間は片道30分程度といわれています。
通学にかかる時間や、公共交通機関の乗り換え回数など、ご自身に無理がないかどうかを確認して、選びましょう。
定時制高校の選び方2:校風
自分に合った校風かどうか?在学生の雰囲気も確認しておきましょう!
学校のホームページをみたり、オープンスクールや学校説明会などに参加したりして、校風や在校生の雰囲気がご自身に合うかどうかもチェックしておきたいところです。
定時制高校の選び方3:学費
4年間を目安に卒業まで無理なく支払い続けられるか?
経済的に通い続けられなくなってしまっては、元も子もありません。
4年間を目安に、卒業まで無理なく支払い続けられる学費であるかどうかを確認しておきましょう。
また、奨学金など制度も、必要であれば利用してもよいでしょう。
奨学金を利用する場合は、併せて借りられる金額や、対象となる要件を満たしているかも確認しましょう。
定時制高校の選び方4:サポート体制
学校独自の生徒へのサポート体制を確認しておきましょう!
学校独自の生徒へのサポート体制は、どのようになっているかも確認しておきたいところです。
万一、定時制高校へ通い続けることが辛くなってしまったときや、仕事が忙しく学業に支障がある状態になってしまったとき、学校側がどのようにサポートしてくれるかで、卒業という目標を成し遂げられるかが変わってきます。
定時制高校卒業後の進路
定時制高校を卒業することが、人生においてのゴールではありません。
あくまで、次のステップへ進むための過程です。
卒業後の進路について、過去の卒業生の実績も調べておきましょう。
一般的には、定時制高校を卒業後、就職する方が多いです。
学校のホームページで、卒業生の就職率や主な就職先を掲載している場合もありますので、ぜひ、みておくことをおすすめします。
また、最近では、定時制高校を卒業後、専門学校や大学への進学を希望する方も増えてきています。
進学を考えている方は、卒業生の進学率や主な進学先も参考にしてみましょう。
通信制高校について
通信制高校は「通信による教育を行う」と定義されているため、全日制高校や定時制高校に比べて登校日数が格段に少ないことが特徴です。
仕事やご自身の生活スタイルに無理が生じないように、高校卒業を目指したいという方におすすめします。
通信制高校の特徴
通信制高校では、主な単位を自主学習によるレポートの提出で取得します。
ご自身のペースで学びたい、仕事などに無理のないように学びたい、毎日通学することに不安があるという方には、卒業を目指しやすい環境といえます。
また、スクーリングという登校日(年間平均約20日)が設けられていますが、学校によってその日数はさまざまです。
ご自身の希望に近い学校を選べば、無理なく通い続けられますね。
登校日数が少ないため、友人関係もご自身のペースで築いていけることも良いでしょう。
さらに、プログラミングや美容、調理などの専門的なコースを設けている学校もあり、希望する職種への就職のためにスキルを身につけることもできます。
なお、3年~4年かけて卒業する方が平均的ですが、単位制・2学期制を導入している高校が多いため、年に2回(例えば、4月と10月など)入学時期と卒業時期があるのも特徴です。
通信制高校の学費
通信制高校の学費は、公立の場合は年間3万円前後、私立の場合は年間20万~100万程度です。
公立通信制高校であれば、アルバイトなどの非正規雇用の方でも十分に支払い続けられます。
また、私立の場合は入学金や、学校によっては積立金や設備費、寄付金などが必要な場合もあるので、事前によく調べておきましょう。
通信制高校の選び方
では、具体的にどのようなことに注意して、進学先の通信制高校を選んでいけばよいかをみていきましょう。
定時制高校の選び方のポイントを4つお伝えしていきます。
通信制高校選びの4つのポイント
通信制高校の選び方1:場所
スクーリングへ通うことが苦痛にならない距離かどうか?
月の数日のスクーリングであっても、通学時間や公共交通機関の乗り換え回数などが負担に感じる距離の学校は避けておきたいところです。
せっかくレポートなどの自宅学習を頑張っていても、スクーリングの単位をなかなか取得できず、卒業への道のりが遠のいてしまっては元も子もありません。
ご自身に無理がないかどうかを確認して、選びましょう。
通信制高校の選び方2:通学頻度
スクーリングは欠席せず通うことができる頻度か?
スクーリングの日数は学校によってさまざまですが、平均的には年間約20日程です。
自宅学習に自信のない方や、仲間と助け合って学んでいきたいという方は、スクーリングの日数が多い学校を選びましょう。
また、あまり通学することを望んでいないという方は、スクーリングの日数が少なく、レポートなどで単位を多く取得できる学校を選びましょう。
通信制高校の選び方3:コース内容
専門的なコースを選択するなら適性や就職先も確認しましょう!
専門的なコースの学科を希望する場合は、自分の適性に合っているのか確認しておきたいところです。
オープンスクールに参加して、実際の雰囲気を確認しておきましょう。
また、学校のホームページなどで、卒業生の就職先を調べておくと、より将来へのイメージが描けます。
通信制高校の選び方4:サポート体制
通信制だからこそ、どのようなサポートが受けられるのか確認しておきましょう!
実際に、学生生活を送り始めると、不安や悩みを感じることもあるでしょう。
例えば、勉強の進め方やレポートの作成の仕方、勉強する気が起きない、計画的に勉強時間を確保できないなど、通信制高校で学ぶ生徒ならではの悩みは誰しも抱えるものです。
そのようなときに、手厚くサポートしてくれる体制が整っている学校を選びましょう。
通信制高校卒業後の進路
前述の定時制高校と同様に、通信制高校を卒業後は就職する方が多いです。
学校のホームページで、卒業生の就職率や主な就職先を掲載している場合もありますので、ぜひ、みておきましょう。
最近では、通信制高校を卒業後、大学や専門学校への進学を希望する方も増えてきています。
進学を考えている方は、卒業生の進学率や主な進学先も参考にしてみましょう。
また、大学にも通信制大学がありますので、検討してみてはいかがでしょうか。
通信制での学び方に慣れた方にとっては、より大卒の経歴を目指しやすい選択肢といえます。
高卒と同等の高認資格を取得するのも手
仕事が忙しく高校へ通う時間がない、経済的に学費が大きな負担になるという方も、決して諦めないでください。
「高卒認定試験」を受験して、合格すれば、高卒と同様の認定が得られます。
高認資格は国家資格であり、合格することで、就職の際、高卒者の同様に扱われたり、大学・短大・専門学校への受験資格を得られたりすることが大きなメリットです。
高認資格とは?
では、具体的に高認資格とはどのようなものかをみていきましょう。
中卒や高校中退であっても、高認資格を得ることで、高校へ通わなくても高卒と同等に扱われます。
高認資格は、受験する年度末までに満16歳となる方なら誰でも受験可能です。
ただし、たとえ16歳で合格したとしても、原則として満18歳になるまでは大学へ入学することはできません。
また、高卒者と同様に、家計の経済状況などの要件を満たせば、大学入学の際に奨学金を受けられたり、授業料・入学金の減免を受けられたりします。
経済的な事情から、高校や大学への進学を諦めざるを得なかった方にとっては、将来への可能性を大きく広げることができる資格ですね。
高認資格の取得の方法
では、高認資格の取得方法を解説していきます。
高認資格の試験科目は8~10科目で、マークシート式の試験であり、必要な科目すべてに合格が必要とされています。
ですが、一度に全ての科目に合格しなくても、一度合格した科目については以後の試験では受験を免除されるので、ご自身のペースで勉強を進めていけます。
なお、合格点の基準は都度変動があるため、公表されていません。
試験は、年2回行われており、受験日は、8月上旬・11月上旬とされています。
注意したいのは、出願期間が8月受験ならば4月中旬、11月受験ならば8月下旬ですので、受験の意志が固まったら、願書を出し忘れることがないようにしましょう。
高認資格は独学での受験も可能ですが、独学での受験が不安だという方のために、高認資格対策の通信講座や予備校があります。
インターネットで簡単に無料の資料請求ができますので、興味がある方は、まずは資料を取り寄せてみましょう。
高認資格のデメリット
高認資格には、デメリットがあるのも事実です。
中卒や高校中退であっても、高認資格があれば高卒と同様に扱われます。
ですが、大学や短大、専門学校を卒業しなければ、学歴はあくまで中卒のままです。
高認資格は、大学や短大、専門学校に進学し、学歴を積み重ねていきたい方に向いた試験であるといえます。
また、就職の際には、公務員であれば高卒同様に扱われますが、一部の民間企業では高卒とみなさない企業があるのも現状です。
まとめ
今回は、全日制高校を卒業しなくても、定時制高校や通信制高校を卒業して高卒資格を得る方法や、高認資格に合格して進学の選択肢を広げる方法をお伝えしました。
ご自身に合った方法で、人生の可能性をより大きく広げていきましょう。
また、どのような選択をしても、誰しも自分の決断を後悔したり、悩んだりするときがあります。
しかし、辛いとき、悩んだときが、人生の成長期です。
不安は恐れを誰しもが抱えています。
大切なのは、ご自身が一度決断したことを、どんなに辛くても諦めないことです。
高校卒業または高認資格取得という目標を成し遂げたとき、見える世界は今とは大きく変わっているに違いありません。
このコラムが、将来の選択肢を広げ、可能性に満ちた未来を歩むためのきっかけのひとつになれば、嬉しいです。
ライター:白井絢子 Twitter@Ayako_Shirai321