
「いじめが辛く、毎日高校へ通うことが苦痛だった」


このように、さまざまな悩みを抱えて、高校中退という選択をした方は多くいます。ですが、全日制高校を中退してしまったからといって、そこで学歴が永遠に途絶えてしまうわけではありません。
年間約20日程度の通学のみで、あとは自宅学習で卒業を目指せる「通信制高校」という高校があるのは、ご存じですか?
また、高校中退するまでの単位を、進学先の通信制高校へ引き継ぐこともできるため、これまでの努力が決して無駄になりません。
今回は、通信制高校を卒業して、就職や進学の選択肢を広げる方法をお伝えしていきます。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
高校中退しても通信制高校がある!
高校中退しても、「通信制高校へ編入する」という選択肢があります。
高校中退後、働こうとしても、学歴を理由に希望の職種への応募を断られたり、高卒者や大卒者に比べて低賃金で雇用されたりと、壁にぶつかっている方は多いです。
高校は、毎日通学しなくてはならない全日制高校だけではありません。
通信制高校は、年間約20日のスクーリングという通学授業以外の時間は、レポートなどを提出して自主学習を進めて単位を取得していきます。日々のご自身の生活サイクルを大切にしながら、無理なく卒業を目指せるのです。
また、学費も公立であればお手頃で、アルバイトなどの非正規雇用であっても十分支払っていけます。
さらに、通信制高校へ編入する際には、中退するまでの単位を引き継げるのもメリットです。せっかく頑張って通った全日制高校での単位を、ぜひ、活かしましょう。
学歴がほしいなら通信制へ編入しよう
大学・短大・専門学校へ進学する場合は、高校卒業または高認資格取得が必要です。
ですが、高校へ通わず試験を受験して取得する「高認資格」は、厳密には高卒ではないため、就職する際にやはり中卒として扱われてしまうこともあるのが現状です。
通信制高校を卒業すれば、全日制高校卒業と同じ「高卒資格」が得られるため、高校中退や中卒の学歴であったときよりも、より就職先や進学先の選択肢が広がります。
最近では、就職せずにベンチャー企業を立ち上げて社長になるなど、学歴にこだわらない生き方をする方も少なからずいますが、一般的には、応募の条件として高卒以上の学歴を挙げている企業が多いです。
通信制高校を卒業すれば、高校中退時には考えられなかった将来への希望をもつことができます。
いじめなどで不登校になった人におすすめ
いじめなどから不登校になってしまった方にも、通信制高校への編入がおすすめです。
通信制高校は、基本的に自主学習を主として卒業を目指していくため、毎日学校へ通う必要はありません。また、年間数日程度の通学なので、人間関係もさっぱりしていることが多いのも特徴です。
さらに、やはり同じようにいじめに悩んで、通信制高校を選択したという方も多くいます。自分の殻を少し破ってみれば、打ち解けられる仲間に出会えるかもしれません。
せっかく新しい環境でリスタートするのですから、ご自身に無理のない範囲で人間関係を築いてみてはいかがでしょうか。
卒業までの約3~4年間、励ましあえる仲間がいれば、辛くても諦めずに乗り越えていけるはずです。
通信制高校の特徴
通信制高校が、全日制高校と大きく違う点は「毎日学校へ通わなくてもよいこと」です。
これまで、経済的な理由や、心身の不調のため、高校へ通うことを諦めたという方も、通信制高校であればご自身に無理なく卒業を目指せます!
では、具体的に通信制高校とはどのような学校なのか、特徴やメリットをみていきましょう。
毎日学校に行かなくてもいい
通信制高校では主に自主学習を中心としますが、年間約20日スクーリング(登校日)があります。スクーリングでは、授業を受けたり、レポートを提出したり、面談をしたりします。
また、最近では私立の通信制高校では完全にオンライン授業のみで、まったく通学を必要としない学校も設立されています。どうしても通学を避けたいという方は、検討してみてもよいでしょう。
通信制高校は全日制高校とは違って、生徒の年齢層が幅広く、働きながら学びに来ている方や、一度高校を中退してリスタートをきり始めた方など、さまざまな方々が通っています。
人と関わることが苦手……と感じている方も、一緒に学ぶ仲間たちに少し歩み寄ってみて、それぞれの価値観や生き方から学びを得てみましょう。
自分のペースで勉強できる
通信制高校では自主学習がメインで、スクーリング(登校日)は年間約20日のため、自分のペースで勉強できます。
すでにアルバイトなど働き始めている方でも、仕事の合間に勉強したり、休日に集中して勉強したりと、ご自身の生活スタイルに合わせて計画的に進めていけば、仕事と学業の両立は十分可能です。
その上、同じように働きながら学んでいる方も多くいるため、仕事と学業の両立が辛くなったときにも、仲間の姿が励みとなるに違いありません。
また、卒業も3年以上かけて卒業する方が多く、卒業時期も年2回(例えば、4月・10月など)であることが一般的です。
全日制高校のように、周りの生徒と自分自身を比較してしまうような環境ではないため、マイペースに学び、卒業を目指していけます。
学校によっては特色が異なりバラエティが豊富
通信制高校は普通科だけではなく、特色のある専門のコースを設けている学校もあります。
例えば、プログラミングや美容、調理など、将来就きたい職業に活かせるコースで学び、スキルを身につけることもできます。また、最近ではすべての授業をオンラインで行い、特にIT時代に適応していける生徒を育成している学校も設立されています。
なお、通信制高校では通学日数が少なすぎると感じる方には、週に2~3日スクーリングがある学校がおすすめです。
学校のホームページやオープンスクールに参加して、在校生の雰囲気はどうか、ご自身の適性や希望に合っているかを検討して選んでみましょう。
通信制高校の選び方
通信制高校へ編入する際に、おさえておきたい選び方のポイントが3つあります。以下の内容を考慮した上で、卒業まで学び続けることができる環境かどうかを確認しておきましょう。
【場所】自宅からの通学に負担はないか
全日制高校のように毎日通学する必要はないものの、通学することが嫌になりスクーリングの単位を取得できなくなってしまっては、元も子もありません。
通学時間が長くなり過ぎないか、公共交通機関の乗り換え回数が多過ぎないかなど、通学に負担がないかを検討しておきましょう。また、通学にかかる交通費がかかり過ぎないかも調べておきたいところです。
また、どうしても近くに公立通信制高校がないという方は、インターネットのみでの学習環境が整っている私立通信制高校への編入を検討してみてもよいでしょう。
【学費】予算内の学費がどうか
通信制高校の学費は、公立の場合は年間3万円前後、私立の場合は年間20万~100万程度です。
公立通信制高校であれば、アルバイトなどの非正規雇用の方でも十分に卒業までの学費を納められます。
また、私立の場合は入学金や、学校によっては積立金や設備費、寄付金などが必要な場合もあります。学校のホームページを見たり、資料請求したりして、事前によく調べておきましょう。
なお、経済状況などの要件を満たしていれば、奨学金を受けることも可能です。進学において経済的な負担が少ないことは大切ですが、どうしても行きたい学校を諦められないという場合には、返済の計画を十分考慮して奨学金の利用を検討してもよいでしょう。
【通学頻度】どのくらい学校にいく必要あるか
一般的な通信制高校普通科のスクーリングは年間約20日ですが、スクーリングへの通学頻度は学校やコースによって異なります。
特に、専門的なコースを設けていて、実技指導が必要な場合は通学日数が比較的多いです。
仕事と学業を両立させたいと考えている方や、いじめなどが原因で不登校になり高校中退してしまい通学に不安を感じているという方にとっては、通学頻度がご自身の希望に合っているかが大切です。
通学を苦痛に感じて、通信制高校を中退してしまうことのないように、ご自身が負担やストレスを感じない学校選びをすることが重要です。
通信制高校の卒業後の進路
通信制高校を卒業することが、ゴールではありません。あくまで、卒業は次のステップへ進むための過程に過ぎません。
高校中退や中卒の学歴のときよりも、人生の選択肢は遥かに広がります。高卒の学歴を最大限に活かせる進路を選択しましょう。
高卒資格が取得できるので、大学の受験も可能
通信制高校を卒業すれば、高卒資格が得られるため、大学・短大・専門学校への進学が可能です。
近年では、通信制高校を卒業して、大学へ進学する方が増えています。
また、大学にも「通信制大学」があります。通信制高校と同様に、通学日数が少なく、仕事と学業が十分に両立できます。
通信制高校卒業生は、すでに自主学習の習慣が身についているのが強みです。通信制大学を卒業して大卒資格を手に入れるという目標も達成できるに違いありません。
高卒以上が条件の求人に応募できる
高校中退や中卒の学歴のときには応募できなかった高卒以上の学歴を条件としている企業や職種であっても、通信制高校を卒業して高卒資格を得ることで挑戦が可能になります。
また、通信制高校で自主学習を計画的に進め、確実に単位を取得してきた経験から、働く上での計画を立て実行する力ややり遂げる力が培われているのも強みです。
さらに、専門的なコースで希望の職種での即戦力となるスキルを身につけた方は、大いにアピールしていきましょう。
人は目標を達成すると「自分はもっとできる!」と、さらに自分自身を強く信じられるようになります。
さらなる高みを目指して、大学へ進学して、卒業後は大卒者対象の企業や職種への就職に挑戦してみてもよいでしょう。
人生100年時代といわれている現在。これからの人生はずっと長く、今はまだスタート地点にいるようなものです。より選択肢を広げて、実りある豊かな人生を送りましょう。
まとめ
今回は、高校中退後に通信制高校へ編入するための方法やメリットをお伝えしました。
毎日通学することだけが、高卒資格を得られる方法ではありません。通信制高校で学び、仕事や趣味と上手く両立しながら高卒資格を目指すことは十分可能です。
また、専門的なコースで学べば、必要なスキルが在学中に身につくため、希望の職種に就くことへの近道になります。
さらに、通信制高校では、自主学習を計画的に進める力や、自分で決断したことを成し遂げる力が培われます。現代の社会を生き抜くには、このような自主的な行動力が大きな強みとなるでしょう。
誰しも一度挫折した後、新しい環境でリスタートするときには、大きな不安や恐れを抱えています。
ですが、その不安や恐れを乗り越えて、在学中に辛いことがあっても諦めず、卒業という目標を成し遂げれば、今のご自身では想像することができなかった未来をつかみとることができます!
このコラムが、通信制高校への編入という一歩を通して未来を豊かにするためのきっかけのひとつになれば、嬉しいです。
ライター:白井絢子 Twitter@Ayako_Shirai321