フリーターを卒業して、企業に就職する。学校を出て今まで自由に生きてきたので、面接は何年かぶりという方もいるはず。
何事も準備が大事、フリーターを想定した面接の注意点とコツをまとめます。
フリーターの面接の注意点とコツ
面接での服装はスーツが鉄板
求人に応募し、面接の案内が届いたとします。まず考えるのは服装のこと。
「どんな服着て行けばいいんだろう?」
しかし、迷うことはありません。面接にはスーツと革靴でのぞむこと。たとえ、その会社が私服勤務可、あるいは制服があったとしても、です。
スーツに意味があるとすれば、社会人としての正式な服装、ということです。
たとえ私服勤務可の会社の社員であっても、「正式な場」にはスーツで出席します。
企業の面接官は、面接という「正式な場」にのぞむにあたって、応募者に常識的な感覚があるかどうかを見ています。
スーツ着用は、面接官から見れば、「社会人としての最低ライン」です。スーツを着ているから評価が高いということはなく、むしろ普段着で面接に来たら「落とす理由」になるくらいに思っていてください。
スーツが似合うに越したことはありませんが、見栄えをそれほど気にする必要はありません。
もちろん高価なものでなくてもOK。自分のスーツを持っていなければ、友だちに借りてもかまいません。
大事なのは、スーツを着て面接にのぞむということ。それは、自分が常識的な人間であることをアピールすると同時に、面接の機会をくれた企業に敬意を示すことにもなります。
あえてスーツの着こなしについてアドバイスするとしたら、清潔感には気を付けてください。服が汚れていないのは当然ですが、肩にフケがかかっていたり、シャツやネクタイがしわくちゃであったりしたら台無しです。
ネクタイをゆるめているのも面接官に悪い印象を与えます。「着くずし」は、入社してからいくらでも楽しめます。
清潔感という点では、スーツと革靴以外に髪型やヒゲも大切です。本気で就職したいなら、髪は黒くし、さっぱりとした髪型にすることをお薦めします。
ヒゲもきれいに剃ること。フリーターの感覚で「このくらいOKでしょ」と思うラインは、企業からすると「ゆるすぎる」くらいです。自分で気恥ずかしくなるくらいがちょうど良いと思ってください。
自己紹介は前向きにPRする
面接官は、面接で応募者が話す内容よりも、態度や言葉の端々に現れる、その人の人間的な部分に注目しています。なので、無理に自分を作ろうとしなくてもかまいません。
ただ、マイナスの印象を与えないようにだけは注意したいものです。マイナスの印象を与える態度、それは、たとえば次のようなものです。
- ポケットに手を入れたまま
- 椅子に浅く腰かけて足を伸ばす
- ため息をつく
- 気に障る質問をされてふてくされる、面接官をにらみつける
年配者の中には、フリーターに対して良くない先入観を持っている方もいます。
「とりあえず面接に来た」ような、やる気の感じられない態度を取ったら、「やはりフリーターはダメだ」と思われます。
自分を偽る必要はありませんが、「こんな社員はいらない」と思われないための努力は必要です。
フリーターの面接で必ず聞かれることの準備
では、フリーターが面接で聞かれやすい質問と、その背景にある面接官の意図をあわせて解説します。
回答例は必ずしも自分にあてはまらないかもしれませんが、参考にして「自分ならどう答えるか」考えてみましょう。
どうしてアルバイト経験が長いのですか?
これは必ず聞かれると思ってください。
質問の意図はもちろん、会社勤めができるかどうかという基本的な部分を見きわめようとしています。就職していなかった理由は人それぞれですが、何であれ前向きに答えたいもの。
たとえば、前向きな理由としては、次のような回答があります。
- 「目指している職業(俳優、タレント、漫画家など)があったので」
- 「取得したい資格(司法試験、税理士試験など)の勉強をしていたので」
- 「創作活動(文章を書く、絵を描くなど)をしたかったので」
- 「家族の介護をするため」
- 「いろいろな仕事を経験してみたかったので」
- 「若いうちに世界を旅したかったので」
- 「師匠のもとに弟子入りしていたので」
- 「学生時代にアルバイトしていた先で気に入られ、責任のある仕事を任せてもらえていたので」
- 「アルバイトから正社員登用ありと言われたが不景気で正社員になれなかった」
- 「正社員だったが会社が経営危機になって、アルバイトとして再雇用されたので」
前向きな印象を作るポイントは、フリーターに「逃げた」のではなく、自分の意思で「選んだ」というスタンスを持つことです。
中には、学校を卒業したのが就職氷河期で就職できず、しかたなくアルバイトをしていたという方もいます。
そのような、自分でどうしようもない不運は「フリーターをしていた理由」として説明してもかまいませんが、あくまで「理由の説明」にとどめること。あまり強調すると、何でも他人のせいにする性格ではないか、といったマイナスの印象を与えます。
また、フリーターを選んだ理由が、「毎朝早起きするのが苦手」「時間に縛られたくない」という方もいます。
その回答は全面的にNGです。
もしそれが事実だとしても、就職して正社員を目指すのであれば直すべきことであり、面接官を不安にさせるようなことをわざわざ言う必要はありません。
次に、「正直に言って、就職していないことに“特に理由はない”という人」へのアドバイスです。嘘をついてもばれますから、理由がないならないで、正直にそう言いましょう。その上で、こう付け加えると、面接官の受ける印象は悪くなりません。

このままではいけないと思い就職しようと考えました

過去はどうしようもないですが、生まれ変わったつもりで未来を切り拓きたい

とにかくフリーターは卒業しようと思いました
こう言えば、面接官に、「この人を応援したい」という気持ちが生まれます。ポイントは、過去よりも未来に面接官の目を向けさせることです。
将来の目標は何かありますか?
このような質問は、応募者が自分の将来について真剣に考えているかどうかを知るためになされます。
目標というのは、将来なりたいもの(例 会社を経営したい)や、実現したいもの(例 外国に留学したい)などが考えられます。
どのような目標を持っているべきという模範解答はありませんから、自分なりに目標があるならば、それをストレートに伝えてください。
当然、「それはなぜですか?」と聞かれますから、目標を持っている理由も整理しておく必要があります。
これといって目標がないとしても、悲観することはありません。はっきりした目標をもって仕事をしている人など、正社員の中にもそれほどいるわけではありませんから。
なので、正直に「これといってありません」でもかまいません。ただ、その後に次のような一言を付け加えると、あなたの印象はぐっと前向きになります。



これらはいずれも目標というほどではありませんが、「近い将来」について真面目に考えていることを伝えることができます。
今の経験を何に活かしていく予定ですか?
これは、仕事を「自分事」としてとらえているかどうかを聞いています。逆に言えば、「人に言われたことをするだけ」の人物かどうかを見ようとしているのです。
まずは、これまでの経験で得たものを考えてみてください。
たとえアルバイトでも、仕事を通じて専門的な技能、接客やパソコン操作などの一般的な技能が身についているはず。それらをどう活かしたいかを答えられれば、自分の仕事に積極的に取り組む人物という好印象を与えます。
たとえば、このような回答が考えられます。



いちばん良くないのは、「別に何もない」といった回答です。
たとえそれが事実でも、一所懸命考えて答えようとしているならば、決して悪い印象は与えません。
面接官は、話す内容よりも真剣に考えて答えようとしている態度を見ています。このことを忘れないでください。
正社員で勤めたら時間の拘束がありますが大丈夫ですか?
時間の拘束は、アルバイトと正社員のもっとも大きな違いです。
正社員は一日のほとんどの時間を会社に取られることになりますが、その代わりに安定した将来と福利厚生を手に入れることができます。
ほとんどの正社員の求人はフルタイムの勤務を前提にしていますので、この質問には基本的に「はい」と答えるべきです。
ただ、どうしてもフルタイムでの勤務が難しい事情があるならば、面接の段階で相談するべきです。
志望動機は何ですか?
志望動機とはもちろん「なぜこの会社に入社したいと思うのか」の理由です。
これをどう説明するかに、その人の個性が強く現れます。
いわば、面接官は志望動機を聞くことで、応募者がどんな人物なのかを知ろうとしていると考えてください。
応募する立場からすれば、志望動機の説明は、自らのやる気や希望をアピールできるチャンスです。次に、志望動機の例を紹介します。



フリーターとはいえ社会経験があるのなら、多くの企業で「即戦力」になれます。
自分の能力を活かして御社のお役に立ちたい、という志望動機を述べれば、面接官は頼もしく思うはず。
実際に、面接の場で「やってみたい」と言った仕事に配属されたという例もあるので、やりたい仕事があるならば志望動機に絡めてアピールするべきです。
今後、どのような自分になっていきたいですか?
あまり普段考えないことかも知れませんが、このようなことを聞かれることもあります。
この質問もまた、面接官は回答の内容よりもどのように答えるかを観察することで、その人の個性を見ようとしています。
応募者としては、個性を発揮するよりも常識的であることが求められていると考えてください。



質問は「どのような自分になりたいか」であっても、趣味や個人的すぎることを話すのは、自分勝手な人間と思われて逆効果です。
「社会」や「家族」を意識した回答を心がけると、面接官に「しっかりした人物」という印象を与えます。
面接の流れ
面接はどのようなものか、大まかな流れと注意点をご紹介します。
1.会社に到着する
まず、面接の時間に遅れないように会社に着くこと。遅刻はいけませんが、早すぎるのも問題です。
あまりに早く到着してしまったら、会社の近くで時間をつぶすなどして、5分前くらいに建物に入りましょう。
もし交通機関の事情などでやむなく遅れそうなときは、電話で連絡しておくこと(携帯電話、スマートホンに訪問先の会社の電話番号を登録しておきましょう)。
もし面接に遅れるとしても、連絡を入れてさえいれば減点にはなりません。むしろ、常識のある人物として好感を持たれることもあります。
2.受付で来社を告げる
会社の正面玄関から中に入ります。冬場、コートを着ている場合は、建物に入るときに脱いで手に持ちます。
受付に人がいれば、「〇〇時から面接の✕✕です」と、面接の時間と名前を告げて指示に従いましょう。
受付に人がおらず電話だけが置いてある場合は、たいてい操作方法が記されていますので、電話して指示に従ってください。
3.控室に通される
すぐに面接の部屋に通されず、しばらく別室で待たされることがあります。
このようなときにスマートフォンで時間をつぶす人がよくいますが、ここでは我慢してください。
企業によっては社内での写真撮影を禁止しているところがあり、悪気はなかったとしても、悪い疑いをかけられる可能性があります。
4.面接の部屋に通される
別室に案内される場合、ドアをコンコンと2回ノックして、「どうぞ」と声がかかったら入室します。
席に着く前に一礼して「〇〇です。どうぞよろしくお願いします」とあいさつしましょう。カバンは足元に置き、コートは膝の上に丸めて持っておきます。
5.面接を受ける
まず履歴書を渡しましょう。履歴書は、折れないようにクリアファイルなどに入れてカバンに入れておくようお薦めします。
渡すときは、カバンからクリアファイルごと履歴書を出し、履歴書を抜き取って、相手から見て正しい向きになるように両手で差し出します。
その際に「よろしくお願いします」と一言添えると好印象です。
あとは、面接官の質問に答えてください。面接官への質問があれば、面接官からの質問が終わった後に聞きましょう。
忘れないように質問内容をメモに書いておいて、それを見ながら質問してもかまいません。用意の良い人だと思われて損はありません。
6.面接が終わる
面接が終わったら、立ち上がって「本日はありがとうございました」とお礼を言ってから一礼します。
面接の部屋を出ても、建物を出るまでは緊張感をキープしてください。
すぐにネクタイをゆるめたり、建物の中から友だちに電話をしたりなどしないように。会社の中で誰かにだらしない態度を見られて、面接官に伝わることもあるのです。
おわりに〜ドタキャンは絶対NG〜
人事担当者に共通の悩みが、「面接のドタキャン」です。面接の時間になっても応募者は現れない、電話の連絡もない。しかし、遅れて来るかもしれないので面接官は待ちます。その間、ほかの仕事をするわけにもいきません。何人かの面接の予定を組むと、少なからずそのようなことをする人がいるそうです。
面接官も忙しい時間をやりくりして面接の時間を作っているので、無断でのキャンセルは大いに迷惑です。辞退するならば、せめて連絡をいれましょう。相手にかかる迷惑を考えられる人こそが、就職でも成功する人です。
では、成功を祈ります!